くぼの元東大受験部屋

おそらく更新しません 二浪一橋仮面東大理二生(2023入学)の受験ブログ

数強になろう 東大理系数学上位層への道

近年の東大数学は難易度が上昇してるように見受けられ、東大から「数学のできないやつはいらない」というメッセージを感じます。

よって、近年では東大実戦や代ゼミプレ(東大模試)は数学難しすぎるよね、オープンくらいの標準難易度で60-70点取れたら十分という時代は終わりを迎えつつあります。

ただし、実際まだ受験者がその変化について行けておらず、東大実戦の資料とかを見ればわかるのですが、実戦など数学が比較的難易度高めの模試は、低得点帯に異常に団子となっていて、本試験でも結局英語(特に客観)が合否を決めると言ったケースが大半になってきています。

但し、東大が求めてくるラインが上がってきただけで、それなりの研鑽を積めば、得点ラインは維持でき、団子軍団から圧倒的なアドバンテージをとれるわけです。

今回は、東大理系数学で40-50点ほどで足踏みしてる人が60-75点ほどを取れるようになるにはどうすればいいかを一緒に考えていきたいと思います。

事前に言っておきますが、それなりにとは言ってもかなりハードです。一橋や京大で4完や満点近くを取るのと東大4完(80点相当)は全くの別物というのを改めて強調しておきます。

そのため、この後するルート?の紹介は、現役生、英語や理科の補強を優先すべき人間、東大オープン程度の問題で50点すら怪しい人はおすすめできません。

数学を伸ばしたい浪人生や数3の標準レベルまで完成した高2生は参考にしてください。

【筆者の紹介】

現役 理一不合格→河合塾で浪人。 数学40点台

一浪 理一不合格→一橋で仮面浪人。

東大一浪時の開示は数学40点台前半。一橋の後期で数学全完ギリ足らずほど。一浪時、東大模試は大体55ー69点で推移した。

二浪で東大理科二類合格。東大模試で数学の偏差値の可動域は67-75ほど。

【入試数学で必要な力】

まず、入試数学の至上命題は「どんな時でも、最低n割取り切る力。可動域(ピンキリ)を可能なだけ狭める」です。まあ上振れは別です。が、2018年度は80点取れるけど、2019年度は30点だったぜ!みたいなのは世紀末なのでやめてくださいということです。

そのために必要な力はなんでしょう。箇条書きしてみましょう。

ア)実力の養成

A.計算力、スピード

これは、計算問題集だけをガンガンやれとかいう意味でなくて、計算をなるべくスマートに、速くやれということです。勘違いしないで欲しいのは、検算を省けということではなく、こまめに検算して確認、計算の工夫を用いてなるべく省エネで解き切る力です。

また、解法が折角思いついても計算で詰まってしまうと折角のアイデアとアドバンテージが台無しになってしまいますよね。また、移項ミスや符号ミス、係数の写し間違え、微積で係数ミスなど、これがなければ何点かあがったのに!(下手したら大問の最初でやらかすと10点オーダーで吹っ飛ぶ恐れがある)というのを本番でやるのは笑えないですから、勉強のうちに計算の工夫や、自分が犯しやすいミスを把握してノートにぶち込むことをお勧めします。また、問題が解けても、何か工夫があるか?別解はあるか?という姿勢を大事にして欲しいと思います。

特に最近でいえば第1問は大体このパタンですよね。

また、計算解析方法が変わればスピードも解きやすさも変わるよねって言う話もあります。例えば順像法での最大最小の考察は場合分けして考えるよりも端点、極値の候補を書き出してグラフに挙動を書いてその中で一番最大と最小を抽出すれば半分くらいの労力ですみますし、文字の入った不等式はあえてパラメータ不完全分離で考えれば図形的に考えれば瞬殺できる問題もあるわけです。このような時短ポイントも大半は自分の頭じゃ思いつきもしなかったわってやつだと思うので是非ノートに書き溜めて累積させてほしいです。こんなもの知ってるか知らないかなので。ギフテッドと張り合えるためにはこれくらいやるしかないですね。

B.解法暗記

二次関数の配置とかそういうレベルじゃなくて、解法を暗唱、比較検討、試行錯誤までして最善の方法を選べる状態を指します。

例えば、線分の軌跡領域なら、順像法、逆像法が有るのは当然として、どれがどういう時に楽で、どういう風に使い分けるかと言った感じです。また、像と現像の理解が深いとさらに楽に解けるでしょう。

c.思考力、アナロジーで典型化する力

大学受験の数学は、問題の構造を分析→実験、一般化→パターン化、類題をつくる→解放選択→計算→検算というのが大抵の問題におけるフローチャートになります。

分析はどの公式や性質に着目してどういう問題に帰着しそうか考えます

実験、一般化は具体値をnに直す→文字n=1.2.3...と具体値を代入してみる実験することで法則性に気づくといった感じ。整数、数列、確率はこの考え方が必須。また、nでおかれるより10.20..といった中途半端に大きな具体値で問題を作る方が難しくなりますがこれもnとおく→実験で解決です。

類題を作る、パターン化は、知ってる問題にどう落とし込めるかに注意します。

たとえば、x+2y+3z=6は、2y=Y.3z=Zとおくと

x+Y+Z=6と無理矢理置換した結果もっときれいなかたちに帰着します。

文字数の拡張なども同様に対処できます。

検算は、必ず1行ごとに「小検算」をし区切りあるところで「大検算」をすることを徹底してください。

具体的には実験、代入、微分積分の逆操作、逆に答案を追うなどです。これを日常的にやらないと本番に絶対できません。

イ)時間配分、難易度を見破る力など試験心得

雲孝夫師がひたすら強調すること。2023-6など一見簡単そうな問題も蓋を開けたらバケモンだったって言うパターンの問題をさっさと見切りつけて10-15分で撤退できるかが大事です。

まず初めの10分以内に全問題と対面、溶けそうな順に優先順位をつけて取り組む。1問当たり5分、10分、15分で手が動かなかったら一度パスする、どんなに手が動いていても15分でパスするのがとても大事。雲孝夫師は「パスする勇気」って言ってましたね。東大は基本1問40分かかるように作られているから、例えば1.2.3が順調に言っても100分は費やしている。残り50分で焦って4-6に易が潜んでるのに焦りゆえ空回りして取り逃がすと実戦的にかなりヤバいわけです。そのためパスして全てと向き合う、ダメならすぐパスすればいいし、何周もした後で完答数を増やせばいいわけです。

ウ)答案作成力。論理を誤魔化さない。

例えば確率の問題だけで文字式だけの羅列は説明できておらず減点対象になりやすい。

同値変形とかも同値性が落ちる時に無視して同値記号を書くと嘘を描いてることになるので減点。

自分はわかってるつもりでも、ちゃんと説明してちゃんと正しいと確信を持てないと一生ミスする。それは毎回答案書いて自分で検討するか模試とかで添削してもらうしかない。

 

【近年東大数学の難易度の推移を評価してみる】

2017年からずっと単調増加してます。但し2021年はコロナ対策もあり多少お手柔らかに作られています。また、2022.2023..とあえて東大数学の頻出事項を忌避してる気がします。

東大数学は一種のスポーツで、例えば学コンで満点とれる実力があっても取捨選択する力、検算力、早く仕上げる計算力、時間配分力がないとあまり点数に直結しません。1問40分かかるように基本は作られているのが難しさの源泉です。

【東大模試の難易度、信頼性】

東大実戦、東大プレの難易度を想定しておくと良いでしょう。本試験はそれと1題基本手が止まることない数3が入ってることがほとんど。

東大オープンは比較的発想力が必要なく、ポイントさえ越えればすぐ典型題に帰着できる。良問だから教育的価値はあるがあれで高得点をとっても実力の保証にはならない。

東進本番レベル模試は、少しクセが強いが難易度もちょうど良く調整されていて本試験に一番近い「構成」。難易度は本試験2022.2023に比べたら「やや易」ただし70点以上とれる場合は実力アリと自負して良いでしょう。

【おすすめの参考書群、講習】

一応念押ししておきますが、【東大理系数学で40ー50点で足踏みしている人】が【60ー75点を取るため】のルートです。それすらダメな人は【FGやチャートなどの網羅系】をやりこんでから出直してください。ハイレベルなものしか紹介しないので、混乱しかえって毒となります

【参考書】

重要度に分けて紹介します。

【年間通じてメインテキストにすべき参考書群】

これは分野ごとにつまみ食いすればいいと思います。

○新数学演習(敷居が高いなら夏までにスタ演で接続)

昔からのクラシカルな良問が多いのが特徴。また私立型の問題からの出典も多い。

→昨年度そこそこ数学ができた人は1学期(スタートが低いラインなら夏休みの間)のメインテキストにすればいいと思います。座標、複素数、二次曲線、微積、整数、図形と式の網羅性が高い。また問題ごとの難易度差がなかなかエグいです。大数評価でいうとB-D#があります。(東大でいうとカモレベルから難問まで)

個人的にD#は飛ばして構わないのでC難度までを完璧にすればいいと思います。解説が優しくなく森茂樹の板書みたいにポイントしか書いてないのですが、問題と解答の質は高いので丸パクリして欲しい。わからないなら解説をノートに書いて、1行毎に追いノートに補足説明を書き込む、というのも立派な勉強です。

○改訂版 最高難度の理系数学(←おすすめ!)

代ゼミ萩野先生の著書。最高難度とある通り基本東大、京大、東工大、一橋、早慶しかない。ここの悩ましいところは解説がほぼないことに等しいことです。1行1行の変形とかに詰まってしまう人も少なくないかも。但し、個人的に薦める理由は2010-2020年代の東大や難関大で出されたトレンド性の高い問題が入っていること、整数、図形問題、微積、極限、求積、確率の網羅性が高いからです。特に旧積(だいたい体積)が25題もあるのはそうそうない。2学期のメインテキストにすれば良いと思います。

【計算力、計算の工夫を養成する参考書群】

○計算のエチュード(Amazonのみ)

清先生が書かれている本。できる人が無意識でやってる計算テクを叩き込んでくれる。結構すぐ終わるから春にやるべし。

○合格る計算

鉄緑会基礎力完成

一旦簡単ですが、これをノーミスで制限時間に仕上げるのはしんどい。春にやるべし。

【アウトプットに役立つ参考書群】

○東大模試の過去問

実戦OP東進代ゼミの順にやればいいと思います。

東進以外は市販がありますが東進もヤフオクなど探せば高くない値段で過去問題を入手できます。

150分演習→必ず時間配分を意識、本番と同じ検算レベルを徹底してください。

また、河合塾のは最低基準が緩い気がするので自己採点時は注意してください。

○東大鉄緑会数学問題集40年

高いですが、東大の過去問研究はこれに尽きる。基本全部やったほうがいい。

【解法の整理に役立つ参考書群(inputではない)】

○解法の突破口

森先生と東大実戦の作問者である雲Kが書いてる本。結構難易度が高いが、着目するテクニックごとに章立てされてるのがポイント。例題5つ→練習10問が9章くらいある。入試数学の掌握の亜種と考えてよい。(ただし内容は異なる。)

結果仕上がるのに時間かかるかも。

○考え抜く数学(青、黄、赤)

基本的に超難しい。まずは40分測り書けるところまで書いたあと、ギブか75分経過まで考えたあと答えを見た。難易度は学コンの過去問だからまあ高いけどまあ東大実戦でも全然出得る難易度。

実力あるなら夏休みくらいから手をつけたい。秋からやるとじっくり考える時間がなくなり消化不良に陥る可能性が高い。

これが50問×3=150問あるからかなりコスパいい。赤はかなり難易度が高いが、食い付けばリターンはある。解く問題を絞ってもよい。

○入試数学の掌握(赤、青の2冊目まででOK)

全称命題、一意性の証明、存在命題、通過領域が得意になる問題集です。特に通過領域などがこれほど充実したのはこれだけだと思われる。問題レベルは高いが、今の東大には必須レベル。緑はオーバーワーク。

【講習】

⭐︎入試数学の盲点(駿台小林隆章師)

(夏)入試数学の盲点A.B/数学エクスプレス

⭐︎入試数学の盲点シリーズ

A. 同値変形、連立方程式、軌跡領域

B ベクトル、複素数、体積

エクスプレス 評価、整数、立体

にフォーカスしてます。全て東大頻出分野なので絶対取るべきです!本当に「わかったつもり」になっていたものが「わかってないんだな」って痛感させられます。駿台の超人気講師小林隆章師の人気講座です。めっちゃポイント喋ってめちゃくちゃ板書してくれる。少なくともAとエクスプレスは取ってほしい、

⭐︎大数ゼミ

大学への数学チームがやっている数学の塾。(他に理科もやってるらしいが)筆者本人は行っていないが、筆者のまわりの東大合格者の多くが高く評価している。

鉄緑会の教材】

部外生が高い金払ってやる価値ある教材を列挙しておきます。

高3数学確認シリーズ

高2数学実戦講座問題集 2冊

高3入試数学演習 必ず授業冊子付きを買うこと

【追記2023理系数学評価 (A〜D難)】

1 評価簡単だが、類題を解いたことないと厳。B 

2確率で具体値だがかなり面倒。(1)B (2)B+〜C

3(1)は死守。(2)も処理が面倒だが途中までは行けるはず。    A.C

4ここは流石に全完したい。機械的処理。B

5(1)は取りたいが、(2)はかなり厳しい。 B、C+

6特に(2)は捨てもん。 C、D

個人的にはBが差がつく問題、Cがお暇なら問題、Dが無理ゲーという認識なので、大問1.2.4が合否を分けたと予想する。また、求値問題はあまり過程に配点がないことに注意したい。大問1、2、4だって予備校でガンガンやるような問題でもないのではあるが、過去問演習で大問1で1点でも失った諸君は猛省すべきである。手の運動になりうる問題はこれだけだからである。(数3は知ってればあとは手の運動。)

目標点は理系55点、といったところだろうか。

自分も開示は60強にすぎなかったのでかなりきつい。

【最後に】 

以上の参考書群は筆者が数強の友人からすすめられたものをリストアップし、ルートを編成、実行したものです。これらは全て二浪時代に実行し数学の偏差値を60から70くらいに上げました。正直もう少し伸ばしたかった。人によっては75くらいを安定させられると思います。東大模試では大体3完くらいどうにか確保できましたが、今年の東大入試(2023)は本当に難しかった。まず第1問が簡単じゃない。容易な「ただの計算問題」がなかった。

東大が多様性やジェンダーを重視する限り、残念ながら理数科目の難化は続くと思われる。我々ができる抵抗はとしては①文系科目を固めるは間違いないが、②圧倒的数学力、理科の分析力をつけることも挙げられるだろう。今年の問題を解いた筆者の感想は「二度と解きたくねえ受けたくねえ」でした。来年以降の東大入試に挑まれる受験生にこの記事を送ります。皆さんの成功を心からお祈りしています。